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糖尿病神経障害
に伴う痛み監修:
中部ろうさい病院名誉院長 堀田 饒 先生
監修:
中部ろうさい病院名誉院長 堀田 饒 先生

糖尿病神経障害に伴う痛み

糖尿病神経障害とは

糖尿病治療においては血糖値のコントロールに加え合併症にも注意が必要です。
糖尿病の合併症の中でも「糖尿病神経障害」「糖尿病網膜症」「糖尿病腎症」は3大合併症といわれています。
その中でも「糖尿病神経障害」は、最も頻度が高く、最も早期から起こる合併症で、手足の先に痛みを伴う事があります。
糖尿病患者が手足に痛みやしびれるような痛みを感じる場合、糖尿病神経障害に伴う痛みである可能性に注意が必要です。

原因

糖尿病神経障害がなぜ起こるかはまだはっきりわかっていません。
一説として、高血糖の状態が続くと、一因として「ソルビトール」という、障害を起こす原因となる物質が神経細胞に蓄積する結果、神経障害が起こるといわれています。また、高血糖によって毛細血管の血流が悪くなるため、神経細胞に必要な酸素や栄養が不足するために起こるという説もあります。
しかし、それ以外の説も考えられており、理由は明らかになっておりません。

糖尿病神経障害のイメージ

症状

末梢神経がダメージを受ける糖尿病神経障害では、痛みやしびれなどの自覚症状がある人は約15%程度といわれていますが、自覚症状がない人も含めると30~40%に見られます。糖尿病患者において頻度の高い合併症です1)

1)堀田 饒:”第4章疼痛疾患 2.糖尿病性神経障害” 神経障害性疼痛診療ガイドブック 小川 節郎編 南山堂:124, 2010

症状の変化

初期は、主に脚の指や脚の裏に「ぴりぴり」「じんじん」といった痛みやしびれるような痛みが生じ、手指には症状は見られません。進行すると手指にも痛みやしびれるような痛みがあらわれるようになり、ちょうど手袋や靴下で覆われる部分に症状が見られるようになります。
さらに神経障害が進行すると、次第に神経は働きを失っていくため、痛みやしびれるような痛みではなく、感覚が鈍くなったり感じなくなったりします。すると脚に傷を負っても気づきにくく、そこから細菌に感染して細胞が壊死してしまい、切断を余儀なくされる可能性もあります。こうならないためにも、糖尿病の神経障害は早期に発見・治療するのが重要です。

特殊な糖尿病神経障害に伴う痛み

高血糖が長期間続いた後、糖尿病治療などで急激に血糖値を下げると、痛みが生じる場合があります(治療後有痛性神経障害)。血糖値を低下・改善して数週間から2~3ヵ月で痛みが生じ、数ヵ月続くこともありますが、血糖値を正常に保っていれば痛みは徐々にやわらぎます。

早期発見するために

足チェックシートイメージ

糖尿病神経障害を早期に発見するために、日本糖尿病対策推進会議では、足の症状を自分でチェックできる「足チェックシート」を配布しています。チェック項目に「はい」がある場合は早めに医師に相談しましょう。

糖尿病患者さん足チェックシートPDFファイルへリンクします

治療法

糖尿病神経障害は、糖尿病の合併症です。まずは、糖尿病をそれ以上進行させないために、食事や運動、薬などで血糖を良好にコントロールすることが基本です。
その後、薬を使って神経の障害を引き起こしている原因に対する治療や、痛みやしびれるような痛みを伴う場合は、それをやわらげる治療を行います。
急激に血糖を低下させると、痛みが生じることがよくあります(治療後有痛性神経障害)。血糖を徐々に下げるなど、注意が必要です。

薬物療法

糖尿病神経障害の原因のひとつは、神経に原因物質(ソルビトール)が溜まることと考えられています。この原因物質を作り出しているのがアルドース還元酵素という酵素なので、「アルドース還元酵素阻害薬」という薬でこの酵素の働きを抑え、神経障害の原因物質が生成されないようにします。

薬物療法

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糖尿病神経障害に伴う痛みに対する治療には、神経障害性疼痛治療薬、抗うつ薬、ビタミン剤、血流改善薬、抗不整脈薬などの薬剤を、症状に応じて適宜併用するなどの薬物療法による対症療法を行います※。
※一部の抗うつ薬は保険適用が認められておりません。

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予防・改善のために

糖尿病神経障害の予防には、適切に血糖値をコントロールすることが最も重要です。主治医の先生と相談しながら治療を早めに受け、日常生活に気をつけながら、症状をコントロールすることが大切です。

総監修:
総合東京病院 ペイン緩和センター長 小川 節郎 先生