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頚椎症 監修:福島県立医科大学医学部 
整形外科学講座 主任教授 
紺野 愼一 先生

頚椎症とは

頚は、頚椎と呼ばれる7つの骨により構成されています。
頚椎の加齢による椎間板の変性(老化現象)や靭帯が厚く硬くなることなどにより、頚部の痛みなどの症状が発現したものを総称して、頚椎症と呼んでいます。

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神経根や脊髄が圧迫され、頚や肩甲骨付近の痛みや、頚肩から腕や手にかけて痛みやしびれを生じることもあります。障害される部位により、頚椎症性脊髄症、頚椎症性神経根症と呼ばれます。
また両者を合併することもあります。

原因

頚椎のクッションの役目をしている椎間板は、20歳を過ぎたころから、年齢とともに、水分が失われて弾力性がなくなり、ひびが入ったり、徐々に潰れたりするなどの変性(老化現象)が始まるといわれます。

椎間板の変性は誰にでも生じるため、これ自体は病気ではありませんが、脊柱管(脊髄の通り道)や椎間孔が狭くなり、脊髄や神経根が圧迫され症状がでることで、初めて病気と診断されます。

頚椎症性脊髄症

頚椎症性脊髄症(けいついしょうせい せきずいしょう)とは、加齢により椎間板の変性が進み、骨がとげ状に大きくなって骨棘(こつきょく)を形成することや、靭帯(じんたい)が厚く硬くなることで、脊柱管にある脊髄が圧迫され、四肢(両方の手足)に痛みやしびれ、運動障害を生じる疾患です。

頚椎症性神経根症

頚椎症性神経根症(けいついしょうせい しんけいこんしょう)は、頚椎の変性(椎間板ヘルニア、骨棘形成など)により、椎間孔の狭窄が生じ、神経根が圧迫され、主に片側に痛みやしびれが生じる疾患です。

症状

頚椎症性脊髄症では、最初に手のしびれや歩行困難などが見られます。徐々に四肢の感覚異常や手指の巧緻性障害へと進行し、膀胱直腸障害も見られることがあります。

※手先の細かい作業が不自由になるといった障害

頚椎症性神経根症では、首、肩、手指にかけて痛みやしびれ、脱力感(力が入りにくい)があらわれることがあります。症状の多くは片側に見られます。

頚椎症性脊髄症

  • 頚部の痛み
    頚の後ろの部分に痛みが出ます。また、頚を後ろにそらした時や重い荷物を持った時に、痛みが生じることがあります。
  • しびれ感、感覚異常
    「左右両方の手(および足)」にしびれ感や感覚異常といった症状が生じます。
  • 手足の知覚障害
    手足の知覚障害が生じ、刺激を正常に知覚できない状態(例えば何にも触れていないのに痛みが走るなど)になります。
  • 手先の細かい作業が不自由になる
    ボタン掛けや、お箸の使用、字を書くことなどが不器用になる場合があります。
  • 歩行障害
    足を前に出しにくい、速く歩けない、歩行がぎこちなくなる、階段を降りるのが怖くなるなどの症状が生じる場合もあります。
  • 膀胱直腸障害
    排泄の機能が障害されることもあります。

頚椎症性神経根症

  • 頚部の痛み
    頚の後ろの部分に痛みが出ます。また、頚を後ろにそらした時や重い荷物を持った時に、痛みが生じることがあります。
  • しびれ感・感覚異常
    主に「左右どちらかの手」にしびれや脱力を伴います。
  • 手の知覚障害
    首から手指にかけて知覚障害が生じ、刺激を正常に知覚できない状態(例えば何にも触れていないのに痛みが走るなど)になります。

治療法

歩行障害、手指の巧緻運動障害、排尿障害などの脊髄症状が重度の場合を除き、まずは保存療法(頚椎カラーを用いた装具療法、薬物療法)が選択されます。また、温熱治療や牽引治療なども併用されます。さらに、痛みがコントロールできない場合は、神経ブロックを行うこともあります。

進行する頚椎症性脊髄症や、保存療法が無効な頚椎症性神経根症には、外科的療法も検討されます。

装具療法

局所の安静を保ち、痛みの軽減が期待できる治療法です。「関節の保持」「変形の強制・予防」「機能の代行」などを目的に、頚椎カラ―などの装具を使用します。

薬物療法

多くの場合、痛み止めとしてまず非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)が主に用いられます。また、しびれや発作的に生じる鋭い痛み(電撃痛といいます)などの神経の痛みに対しては「神経障害性疼痛治療薬」、筋肉の緊張をやわらげ症状を軽くする目的で「筋緊張弛緩剤」なども用いられます。

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牽引療法

主に顎のあたりにベルトを掛け、体重のおよそ10分の1の重さで引っ張り、頚椎にかかった圧力を軽減し、痛みや神経根障害を軽減させます。
牽引の方向や強さによっては、症状が増悪することもありますので、必ず主治医の指示に従ってください。

温熱療法

熱による物理的エネルギーを利用した治療法です。生体に直に接触して熱を伝える電動熱を用いた「ホットパック」などがあります。

理学療法(リハビリテーション)

運動やマッサージなど、代謝機能や身体機能などの改善を目的に行う治療法です。

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神経ブロック療法

局所麻酔薬により、痛みが神経を伝わるのをブロックする治療法です。主に整形外科、麻酔科やペインクリニックなどで実施されています。

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外科的療法

頚椎症の治療では、日常生活動作に多大な支障が生じている場合を除き、最初から手術が行われることはほとんどありません。しかし、そのほかの治療であまり効果が見られない場合には手術も検討されます。

予防・改善のために

頚椎症の予防・改善のためには、日頃の生活の中で、姿勢や首の動かし方について気をつけることが大事です。

日常生活の注意点

頚椎症性神経根症の場合:
  • 頚椎を過度に前後に倒したり、回したりしない
  • うつぶせの姿勢で寝ない
  • 長時間首を曲げた状態で机に向かわない
  • 背中を丸めて頚椎に負担がかかる姿勢をとらない
頚椎症性神経根症の場合:
  • 頚椎の過伸展(普通より伸ばされすぎてしまった状態)を避ける
総監修:
日本大学総合科学研究所 教授 小川 節郎 先生