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痛みのコラム

特集3痛みの豆知識

世界で初めて全身麻酔手術に
成功した日本人

手術には痛みを和らげる麻酔薬は欠かせません。しかし、本格的な麻酔薬が登場したのは19世紀のはじめ。そのため、部分切除などの大きな手術は、患者の苦痛が強すぎるため、それまで行われていませんでした。

江戸時代の外科医、華岡青洲(はなおかせいしゅう)は、手術中の痛みを抑えることができればより多くの患者を助けることができると考え、麻酔薬の開発に取り組んでいました。幾度も実験を重ねた結果、青洲は、ついに曼陀羅華(まんだらげ)とトリカブトという植物を主成分とした麻酔薬「通仙散(つうせんさん)」を開発します。その後1804年に、通仙散を使って、世界で初めて全身麻酔下の手術に成功します1)

日本以外では、1846年、アメリカの麻酔医ウィリアム・グリーン・モートンがエーテルを使った全身麻酔下の手術に成功していますが、青洲の全身麻酔による手術は、モートンの手術よりも40年以上前に行われており、青洲の成功は前例のないすばらしいものだったといえます2)

青洲の成功の裏には、妻、加恵と母、於継(おつぎ)の二人の協力がありました。麻酔薬の適量を調べるには人体で試す必要がありましたが、二人はすすんで麻酔薬の実験台になったといわれています。有吉佐和子の小説「華岡青洲の妻」では妻と母に焦点をあて、青洲の成功を描いています。この小説は映画化され、それまで医療界のみで知られていた華岡青洲を、世の中に広めるきっかけとなりました。

  • 1) 千葉 省三:おもしろ科学史ライブラリー8「人体・医学」日本の医学の夜明け 1 あかね書房:22, 1994
  • 2) ハロルド エリス:外科の足跡 1 バベルプレス:63, 2008

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総監修:
日本大学総合科学研究所 教授 小川 節郎 先生