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痛みのコラム

特集1痛みを伝える

難解な医療用語をわかりやすく

明治大学 国際日本学部
田中 牧郎

医療用語は伝わっているか

「おまかせ医療」から「患者中心の医療へ」

かつて日本の医療は、医師にすべてをまかせる「おまかせ医療」でしたが、最近は、医師から説明を受けた患者が、自ら考え自分で医療を選択するのがよいとする、「患者中心の医療」の理念が広まってきました。医療者は患者に対してよく説明するようになり、患者はその説明にうなずいたり、同意書にサインしたりしています。しかし、患者は説明を本当に正しく理解しているのでしょうか。
国立国語研究所が実施した調査では、国民の8割以上が、医師が患者に対して使うことばの中に、言い換えたり説明を加えたりしてほしいことばがあると回答しました。医学を学んでいない患者にとって医療用語が難しく思われるのは当然とも言えるでしょう。

医師の使用率と一般の人の認知率

図は、主な医療用語について医師の使用率と一般の人の認知率とを示したものです。使用率は医師の何%が患者に対してその言葉を使うか、認知率は医療職についていない一般の人の何%がその言葉を見聞きしたことがあるかを、アンケート形式で調べたものです。「腫瘍」から「膠原病」までは、医師の使用率よりも一般の人の認知率の方が高いのですが、「重篤」から「寛解」までは、一般の人の認知率よりも医師の使用率が高くなっていて、患者が知らない言葉を医師が使うことがよくあることが分かります。

どうすればよいか

このように見てくると、現在の医療現場での医療用語は伝わっていない実態があることが分かります。問題の改善のためには、患者がもっと勉強するか、医師をはじめとした医療者がもっと分かりやすい言葉を使うかをしなければならないでしょう。どちらも大事なことですが、まずは医療者側で言葉の使い方や説明のしかたを工夫していくことが、求められるでしょう。

国立国語研究所「病院の言葉」にかかわる調査(2008年)

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総監修:
日本大学総合科学研究所 教授 小川 節郎 先生